2007年08月09日

●またまた、不動産業界への大きな波

失われた10年と呼ばれる、日本のバブル経済崩壊はまだまだ記憶に新しいところですし、今になっても傷まだ癒えずという人たちもまだまだ多く存在するのではないでしょうか?

当時の証券市場をはじめ、不動産などの資産価値の急上昇とその後のジェットコースター的な急落とが、バブルは必ずはじける、という教訓を現代人に教えたものですが、今、アメリカで問題となっているサブプライム・ローンの破綻は、「欲望」と云う名の前で人間というものは、なんと浅はかなのか?ということを表しているといえるでしょう。低所得者層への過剰なる住宅融資の末、返済不能、多重債務の結果、金融市場の大混乱、これらに絡んだ多くの企業の経営破たんが現実のものとなってきています。

日本のバブル崩壊時でも、ちょっと大げさに表現すれば不動産業界というひとつの産業そのものが失われていくのではないだろうか?!という感じさえしたものですが、アメリカでも結果的に(皆気がついていたはずなのに・・・・)不動産業界を震撼させ、引いては経済そのものを揺るがず状況となってきています。

アメリカの不動産業界では、既存業者を揺るがずもうひとつのテーマとして、新しい潮流が表れてきています。すなわちインターネット・オンラインを利用した不動産の売り手・買い手を介在する"不動産出会い系サイト"の出現です。数年前からアメリカ本国ではネット上では話題にされていましたが、ここにきて、ほぼ数社にメインプレイヤーは絞られたようです。REALTOR-Trulia-Zillowなどが、代表的な企業でしょうか。

彼らは、不動産物件の地域や価格、あるいは間取り(図面・写真・物件ツアー他)など、できうる範囲で該当する不動産情報をデーターベース化し、パソコンの画面上で簡単に検索閲覧させるという、極めてインターネット的な手法で、売り手と買い手を結びつけようという、ビジネスモデルを展開しています。日本でも同様のビジネスが見られるようにはなってきましたが、まぁ、なんと恐ろしいことに、(もちろん既存業者に対してではありますが)仲介した手数料を、破格に抑えるというサービスを提供する企業さえ誕生しています。

アメリカ・シアトルをベースにしているRedfinですが、売買される不動産価格が500000万ドル(6000万円)として購入価格から平均して1万ドル(120万円)は安くできる、という触れ込みですが、これらは、従来多額の仲介手数料を業者に支払うものを、約3分の1に抑えるから可能になるという仕組みです。不動産の個人売買に極めて近いシステムではありますが、このRedfinにも専属スタッフやエージェントが存在しますので、問題なく契約締結できることになります。

弱小のローカル不動産業者にとっては、インターネットでデータベース化され、これら大手のブロバイダのシステムへ参加を余儀なくされることだけでも大変なことなのに、こんな新しいシステムが登場するとお先真っ暗の感じですね。反面、消費者にとってはコストが下がることは、非常に有りがたく、嬉しいことですし、特に新規住宅購入者にとっては(特に中古住宅情報)比較検討の際にとても助かるシステムの登場ではないでしょうか。

いずれにしても、このような新しいシステムの出現に比較検討の容易さや、さらなる価格競争によって、良い物件は価値基準が安定的に高く維持され、悪い粗悪は物件は、見向きもされない状態か、叩き売られるようになってくるのでしょう。

ココで取り上げる「輸入住宅」という住宅カテゴリーでも、見た目だけではない、本格的で価値基準のはっきりした良質の住宅を供給することが、必然なのでしょう。

RedfinのCEO Glenn Kelmanが InmanTVで近況をインタビューされています。つい最近、アメリカ西海岸から東海岸の拠点ボストンへサービスエリアを広げたばかり、益々意気盛んのようです。

【Discovery Credit】
Inman TV - Real Estate Television
REALTOR
Trulia
Zillow
Redfin

2007年06月07日

●政府の「200年住宅構想」について想う。その2

欧米諸国と比較して極めて耐用年数の少ない我が国の住宅を、200年という"超"長期に渡って保持し、中古住宅の流通促進を欧米並み、あるいはそれ以上に活性化させるという、政府の指針ですが、その趣旨について、基本的には多くの方が賛同されることでしょう。

先のエントリーでも書きましたが、その前提となるのが「建物そのものの質」はもちろんのこと、中古市場の活性化という意味においては「立地・ロケーション」との関係が重要なもうひとつの柱になるのではないか!?ということです。

そして、その「立地・ロケーション」という意味合いは、従来の日本で語られる土地本位主義や土地神話というような話ではなく、これからは、自然環境や地域の犯罪率、あるいは地域行政に絡むライフコストなど多くの付帯条件を考慮したものになってくるのでしょう。(その土地の持つ潜在的な価値と新しく加えられる価値)

そういう意味では、地域行政機関の"街づくり"や"都市開発"なども従来のように安易なカタチでは逆にその地域の衰退を招き、多くの地域間格差が住宅市場でも生まれることになるのではないでしょうか。反面、地域の特性をうまく取り込んで"住まいと環境"というテーマ"でユニークなコンセプトを生み出せば地域の活性に繋がることでしょうし、既に、都市型の分譲高級マンションの分野では、今回の「200年住宅構想」とは直接リンクしませんが、やはり魅力的なものが多く見られます。

肝心の一戸建て住宅については、政府の提唱する構造躯体や仕様のデータやリフォームの履歴をデータベース化した「家歴書」というものを整備することと、その評価基準の明確化が必須となるでしょう。その中には、国内の住宅スタイルでは評価基準が困難な建築様式やデザイン仕様などの基準値も組み込まれれば、より価値の有る家は正当に評価されることになるのでしょう。単に、建材原価の高いモノの使用頻度が高いだけで、取引値や売価が高くなるという馬鹿げた状況になるのではなくトータルでその住宅が持つ真の価値を評価する基準づくりがとても大切なことだと思います。

今、我々の住む"地球"の200年後さえも決して明るい見通しが有るわけではありませんから、当然ながら地球温暖化にも十分配慮された住宅が「200年住宅構想」の最大の価値基準であることは疑いの余地は有りません。

2007年06月02日

●政府の「200年住宅構想」について想う。その1

先日、以下のようなニュースが目に飛び込んできて、自分なりに改めて考えてみると幾つかのことが浮かんできたので、関連してエントリー。

【自民・住宅土地調査会が提言】

 自民党の住宅土地調査会(会長=福田康夫・元官房長官)は31日、建て替えずに長期間住み続けられる住宅の普及を目指す提言「200年住宅ビジョン」を発表した。

 「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う社会への転換が急務だ」と指摘し、「200年持つ住宅」の普及を唱えている。具体的には、〈1〉住宅の維持・管理に関するガイドライン(指針)の策定〈2〉リフォームや点検の履歴を記した「家歴書」を整備して中古住宅の流通を促進〈3〉リフォーム物件を購入する際の消費税の軽減――などの措置を挙げている。

 福田氏は同日、塩崎官房長官を首相官邸に訪ねて提言を手渡し、「政府の大きな指針の一つにしてほしい」と要請した。党の参院選公約にも盛り込む予定だ。

日本の中古住宅については、過去にも海外の中古住宅市場との比較論でこのブログでもいくつか取り上げてきましたが、相対的に語られる内容としては、新築着工数やその取引量と比較して中古市場の取引量が、欧米の先進国と比較して圧倒的に低いということですね。

この事自体を取り上げて、我が国の住宅の耐久年数が欧米より低いと、単純に断言できるわけではありませんし、また在来工法と2x4工法を代表とする欧米の建築工法の強度の違いを明確化するものでは有りません。むしろ、日本各地に現存する古い寺社仏閣をみれば、世界中を見渡しても屈指の構造躯体(特に木造建築において)と評価されるのでしょう。

中古住宅の活性化という視点でみれば、住宅構造など、その住宅が持つ特定要素と共に、もうひとつ重要な条件としてその家が建つロケーションということになるでしょう。すなわち、不動産の価値というものは、言うまでもなく"建物"と"立地"という2大要素で比較検討されることになります。先日、高級住宅地で名高い兵庫県芦屋市でも相次いで市の条例が可決されましたが、それらのほとんどが、"芦屋市"という地域ブランドを守るための内容でした。

高級住宅地のみならず、都心や田舎暮らし、あるいはリゾート地周辺等と「何処に住むか?」と言うテーマは、年齢やその時々の家族構成の変化、収入の見込み、そして仕事環境に大きく左右されます。それらは、日本でも欧米の諸外国であっても変わりはありませんが、「簡単に移動する」ということに抵抗感が少ないのは欧米の人たちなのでしょう。

そして、もうひとつ彼らとの違いで感じるのが、自身の生涯を通じてのファイナンス計画に、住宅や不動産というものが明確な主たる要素として認識されているということが、大きなポイントではないかと感じます。将来的に今住んでいる家が、どのような新しい価値を生むのか?あるいは、古くなった家でもどのようにしたらまったく新しい価値を付加することができるのか?というような感覚が、少し希薄な気がしますよね。

~この項、続く~

【Discovery Credit】
FujiSankei Business i. on the Web
Sankei WEB